座標について考えます。
ベクトルは太字にしていますが、わかりにくいです。
座標について整理して考える
2次元の座標
デカルト座標
デカルトが1637年の「方法序説」で初めて、直交する2つの軸で平面上の位置を示す概念、を示したとされています。
(以下、直交座標とします)
$$ 位置 = (x, y) $$
位置を2つの変数で表しています。
平面上の任意の位置を表すことができます。
極座標
ある原点をとり、原点からの距離\(r\)と、原点を通る基準とする直線からの角度\(\theta\)を使って平面上の位置を示します。
\( 0 \leq \theta \lt 2\pi \)と説明されることが多いです。
$$ 位置 = (r, \theta) $$
極座標の説明のすぐ後に\(r\)を固定して円運動の話しが始まることが多いですが、平面上の任意の位置を表すことができます。
回転の運動の記述に使いたい座標系ですが、例えば、\(\theta(t)=0\)のまま、\(r(t)\)が一次関数で表すことができる増加のしかたをする場合はx軸上の等速直線運動となります。
位置を2つの変数で表しています。
平面上の任意の位置を表すことができます。
極座標を直交座標に変換する関数(2次元)
定義より明らかです。
\[
\begin{align*}
x & = r \cos(\theta) \\
y & = r \sin(\theta)
\end{align*}
\]
他の座標
2次元でよく見るのは、あとはxy平面上の回転座標系くらいでしょうか。
3次元の座標
デカルト座標
xとyとzを90度ずつの関係を持たせて、原点からの3つの距離で、3次元空間内の任意の点の位置を示します。
(以下、直交座標とします)
$$ 位置 = (x, y, z) $$
位置を3つの変数で表しています。
空間内の任意の位置を表すことができます。
極座標
ある原点をとり、原点からの距離\(r\)と、原点を通る基準とする直交する3本の直線の2本を使い、角度\(\theta\)と\(\phi\)を使って、空間内の位置を示します。
\( 0 \leq \theta \lt \pi, 0 \leq \phi \lt 2\pi \)と説明されることが多いです。
\( 0 \leq \theta \lt 2\pi, 0 \leq \phi \lt \pi \)でも任意の位置を示すことができます。
$$ 位置 = (r, \theta, \phi) $$
\(\theta\)を決めた時点で、\(r\)の\(x\)成分と\(y\)成分は青点線と重なるため、あとは\(\phi\)のみで任意の位置を示すことができます。
位置を3つの変数で表しています。
空間内の任意の位置を表すことができます。
極座標を直交座標に変換する関数(3次元)
上の図で直方体を考えます。
上面の対角線が\(r\sin\phi\)となり、下面の対角線も\(r\sin\phi\)となるので、\(x=r\sin\phi\cos\theta\)、\(y=r\sin\phi\sin\theta\)となることがわかります。
zは\(\phi\)の余弦なので、\(z=r\cos\phi\)です。
\[
\begin{align*}
x & = r \sin\phi\cos\theta \\
y & = r \sin\phi\sin\theta \\
z & = r \cos\phi
\end{align*}
\]
Lagrangianを使う動機
Euler-Lagrangeの運動方程式を使う動機を確かめておきます。
円周上に束縛された回転運動を例にとると、原点からの距離\(r\)が定数になるので、\(\theta\)だけが変化するので極座標を使った方が筋が良さそうです。
しかし、極座標で\(\boldsymbol{F}=m\boldsymbol{a}\)の微分方程式を解くことは非常に手間がかかります。
速度を得るために、時間\(t\)で微分します。積の微分と合成関数の微分を思い出してください。
\[
\begin{align*}
\dot{x}(t) & = \frac{d}{dt}(r(t)\sin(\phi(t))\cos(\theta(t))) \\
& = (r(t)\sin(\phi(t)))’\cos(\theta(t)) + (r(t)\sin(\phi(t)))(\cos(\theta(t)))’ \\
& = (r(t)’\sin(\phi(t))+r(t)\sin(\phi(t))’)\cos(\theta(t)) – (r(t)\sin(\phi(t)))(\sin(\theta(t))) \\
& = r(t)’\sin(\phi(t))\cos(\theta(t))+r(t)\sin(\phi(t))’\cos(\theta(t)) – r(t)\sin(\phi(t))\sin(\theta(t)) \\
& = \dot{r}(t)\sin(\phi(t))\cos(\theta(t))+r(t)\dot{\phi}(t)\cos(\phi(t))\cos(\theta(t)) – r(t)\sin(\phi(t))\sin(\theta(t))
\end{align*}
\]
残りもやりますが、この時点でxyzに全て1階微分するだけで非常に手間がかかる、2階微分はもっと手間がかかることが自明のため、Euler-Lagrange運動方程式を使おうということになります。
\[
\begin{align*}
\dot{y}(t) & = \frac{d}{dt}(r(t)\sin(\phi(t))\sin(\theta(t))) \\
& = (r(t)\sin(\phi(t)))’\sin(\theta(t)) + (r(t)\sin(\phi(t)))(\sin(\theta(t)))’ \\
& = (r(t)’\sin(\phi(t))+r(t)\sin(\phi(t))’)\sin(\theta(t)) + (r(t)\sin(\phi(t)))(\cos(\theta(t))) \\
& = r(t)’\sin(\phi(t))\sin(\theta(t))+r(t)\sin(\phi(t))’\sin(\theta(t)) + r(t)\sin(\phi(t))\cos(\theta(t)) \\
& = \dot{r}(t)\sin(\phi(t))\sin(\theta(t))+r(t)\dot{\phi}(t)\cos(\phi(t))\sin(\theta(t)) + r(t)\sin(\phi(t))\cos(\theta(t))
\end{align*}
\]
\[
\begin{align*}
\dot{z}(t) & = \frac{d}{dt}(r(t)\cos\phi(t)) \\
& = r(t)’\cos\phi(t) + r(t)\cos\phi(t)’ \\
& = \dot{r}(t)\cos\phi(t) – r(t)\dot{\phi}(t)\sin(\phi(t)) \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad
\end{align*}
\]
2階微分はやめておきます。
他の座標
ときどき見るのは、下記と思います。
- 円筒座標 / 円柱座標
- 回転座標系
一般化座標(generalized coordinates)
上記で説明したように平面上の位置の記述には、直交座標でも極座標でも変数を2つ使いました。
これは自由度が2の運動の記述には変数が2つ必要であることを示唆しています。
拘束条件や束縛条件と言われるものが1つあると2-1で1つの変数で平面上の運動を記述できます。
空間のどこかにある質点の位置の記述には、変数を3つ使いました。
これは自由度が3の運動の記述には変数が3つ必要であることを示唆しています。
拘束条件や束縛条件と言われるものが1つあると3-1で2つの変数で空間内の運動を記述できます。
平面上の運動を記述可能な2つの変数の組の全てをそれぞれ1つの質点の一般化座標と定義します。
全ての一般化座標は他の一般化座標にそれぞれ対応する関数の使用により変換可能です。
全ての一般化座標はそれぞれ対応する関数の使用により直交座標に帰着可能とも言えます。
(このためか文献によっては直交座標だけは除く、というものもあります。)
空間内の運動を記述可能な3つの変数の組の全てをそれぞれ1つの質点の一般化座標と定義します。
全ての一般化座標は他の一般化座標にそれぞれ対応する関数の使用により変換可能です。
全ての一般化座標はそれぞれ対応する関数の使用により直交座標に帰着可能とも言えます。
(このためか文献によっては直交座標だけは除く、というものもあります。)
運動を記述可能な変数の組の全てをそれぞれ一般化座標と定義します。
関数の使用により、直交座標と交換可能な座標は全て一般化座標と言う、ということです。
後は質点系に拡張します。
直交座標が入るのか入らないのか、定義がふらついていますが、一般化座標の定義の説明として十分と思いますので、ご了承ください。
考察 / 類推
直交座標から、自分で関数を決めて、変換をかけて、意味のない一般化座標を作る、量産することも可能と思います。
公理系が量産されないように、意味のない枠組みは作成されないとは思います。
まとめ
次は、一般化速度です。
参考
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