古典力学 6 (一般化速度)

一般化速度まで、話しを進めます。

ベクトルは太字にしていますが、わかりにくいです。

一般化速度(generalized velocities)

定義 : 1つの質点の一般化速度

1つの質点を一般化座標で表した位置を時間\(t\)で微分したものを、1つの質点の一般化速度と定義します。

後は質点系に拡張します。

円周上に束縛された運動(直交座標 & 2次元)

ここで、一般化座標と一般化速度について、ごく簡単な例で検証します。

円周上に束縛された運動を考えます。\(r\)を固定します。
円の中心が原点と一致している状況を考えます。

半径を\(r\)とします。つまり、長さを\(r\)とします。

直交座標では、位置を下記で表すことができます。
長さが\(r\)で固定された硬い棒状のものを考えて、その片側の位置(\(O\)とする)を固定して回転させるともう一方の端(\(P\)とする)が描く軌道は円となります。\(P\)から\(x\)軸と直角になるように線を引くと必ず直角三角形となります。三平方の定理から下記を導きます。


001

$$ x^2+y^2 = r^2 $$

速度も三平方の定理を使って導きます。直交座標に分解しているので、三平方の定理になるのは当たり前です。


002

$$ \boldsymbol{v}^2 = v_x^2 + v_y^2 = (\frac{d}{dt}x)^2 + (\frac{d}{dt}y)^2 = \dot{x}^2 + \dot{y}^2 $$

円周上に束縛された運動(極座標 & 2次元)

極座標では、位置を下記で表すことができます。


005

$$ 位置 = r\theta $$

極座標では、速度を下記で表すことができます。
円周上に束縛された運動のため、\(r\)は定数とします。

$$ 速度 = r\frac{d}{dt}\theta = r\dot{\theta} $$

上記が一般化座標と一般化速度の例となります。一般化座標を極座標として、束縛条件を1つ付けて、一般化速度を得ました。

(復習)三角関数の微分

$$ \frac{d}{d\theta}\sin(\theta) = \cos(\theta) $$
$$ \frac{d}{d\theta}\cos(\theta) = -\sin(\theta) $$

証明は、はさみうちの原理を使った証明です。

(復習)合成関数の微分

$$ (f(g(x)))’ = g(x)’f(g(x))’ $$

どの変数の微小変位を考えるか

$$ \frac{d}{d\theta}\sin(\theta) = \cos(\theta) $$

ですが、

$$ \frac{d}{dt}\sin(\theta(t)) = \frac{d}{dt}\theta(t)’\sin(\theta)’ = \theta(t)’\cos(\theta) $$

です。

$$ \frac{d}{dt}\sin(\theta(t)) = \frac{d}{d\theta} \frac{d\theta}{dt} \sin(\theta(t)) = \frac{d\theta}{dt} \frac{d}{d\theta} \sin(\theta) = \dot{\theta}(t)\cos(\theta) $$

です。

極座標と直交座標の円周上に束縛された運動の一般化速度が一致することの確認(2次元)

準備の計算をします。
円周上に束縛された運動のため、\(r\)は定数です。
等速円運動として\(\theta\)の部分を\(\omega t\)としても同様です。

\[
\begin{align*}
\frac{d}{dt} x & = \frac{d}{dt} (r\cos(\theta(t))) \\
& = r \frac{d}{dt} \cos(\theta(t)) \\
& = r \frac{d}{dt}(\theta) (-\sin(\theta)) \\
& = -r \dot{\theta} \sin(\theta)
\end{align*}
\]

\[
\begin{align*}
\frac{d}{dt} y & = \frac{d}{dt} (r \sin(\theta(t))) \\
& = r \frac{d}{dt} \sin(\theta(t)) \\
& = r \frac{d}{dt}(\theta) (\cos(\theta)) \\
& = r \dot{\theta} \cos(\theta)
\end{align*}
\]

速度の二乗です。

\[
\begin{align*}
\boldsymbol{v}^2 = \dot{x}^2+\dot{y}^2 & = (-r \dot{\theta} \sin(\theta))^2 + (r \dot{\theta} \cos(\theta))^2 \\
& = (r\dot{\theta})^2
\end{align*}
\]

ということで、きちんと一致しているようです。

他の座標についても、2次元、3次元、すべてについて同様の操作をしておくべきですが、省略します。
ここまでで、一般化座標と一般化速度については了承いただけたかと思います。

まとめ

次は、全微分からになります。

参考

トランジスタ技術2019年7月号



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