数学について説明します。
数学の歴史
数学者、物理学者の年表です。
ユークリッドの「原論」
ユークリッドの「原論」という有名な本があります。
ユークリッドの平面幾何学、の本と知られていて、当時の数論などなども書かれています。
現代の初等幾何学 赤攝也のp.180に
初等幾何学全体がはじめて公理的に構成された古典。
と紹介されています。
「原論」では、9つの公理、5つの公準、23の定義、のみで、いわゆる証明を行っていて、これにならう時代が続いたそうです。
公理
- 同じものに等しいものは互いにも等しい(例. \(A=B\)かつ\(B=C\)のとき、\(A=C\))
- 等しいものに等しいものを加えたとき、全体は等しい(例. \(A=B\)かつ\(C=D\)のとき、\(A+C=B+D\))
- 等しいものから等しいものを引いたとき、残りは等しい(例. \(A=B\)かつ\(C=D\)のとき、\(A-C=B-D\))
- 等しいものから等しくないものを加えたとき、全体は等しい(例. \(A=BかつC \neq D\)のとき、\(A+C \neq B+D\))
- 同じものの倍は互いに等しい
- 同じものの半分は互いに等しい
- 重なりあうものは互いに等しい
- 全体は部分より大きい
- 2つの線分は面積を囲まない
これらの公理は、自明なものばかりです。
4番目、5番目、6番目、は他の公理と同じ、導くことができる、ということで不要とする主張もあるようです。
公準
- 任意の2点に対して直線を引くこと
- 有限の直線を延長すること
- 任意の点を中心として、任意の半径で円を描くこと
- すべての直角は等しいこと
- 直線が2つの直線と交わるとき、同じ側の内角の和が2直角より小さい場合、2つの直線はその側で交わること
前提とか、当然の要請、などと説明されます。幾何に限定した公理と説明されたりします。なので、公理の最後のは公準に入れるべきという主張もあるようです。
自分は原論以外で公準という言葉を見たことはありません。
定義
議論を始めるにあたり、当たり前のことが定義されています。わかりやすさのために、ところどころ文章を変えています。直線、と言わない限り、線は曲線と直線を含む線全体の集合のことを考えてください。
- 点とは部分を持たないものである
- 線とは幅の無い長さである
- 線の端は点である
- 直線とはある点について一様に存在する線である
- 面とは長さと幅だけを持つものである
- 面の端は線である
- 平面とはある直線について一様に存在する面である
- 直角より大きい角は鈍角である。
- 直角より小さい角は鋭角である。
- 境界とはあるものの端である。
- 図形とは一つまたは二つ以上の境界によって囲まれたものである。
- 円とは一つの線に囲まれた平面の図形で、内部にある一点からそれへ引かれたすべての直線が互いに等しいものである。
鋭角三角形の定義、鈍角三角形の定義、などなどは省略しています。
48の命題
公理と公準で、証明的な操作で命題を達成するという方法です。
ここでは48の命題の列挙はやりません。
命題「与えられた有限の長さの直線の上に正三角形をつくる」
という題に応えるようなものもあれば、
命題「直角三角形において直角の対辺の上の正方形は直角をはさむ2辺の上の正方形の和に等しい」
のようにまさしく定理の証明のようなものもあります。
証明的な操作、という言葉を選んでいるのは、正三角形を作る操作などを証明と言うか、というところで自分が引っかかるからです。
題に応えるようなものとして思い出されるのは、グラフ理論の一筆書きの点の数と点につながる線の数の証明です。
数学
「公理系」と「自明なこと」と「定義」と「すでに証明した定理」から、「証明」により、「定理」を導きます。
証明は、その過程の一つ一つは、公理か、定理か、自明なことか、定義、です。
証明により導かれるものは、「命題」と呼ばれたり、「定理」と呼ばれます。
注記
上記は自分が数学と考えるもの。正しい保証はありません。逆数学の著者とは同じ考えと思われます。
数学序説の6章に詳しいです。この6章は価値があります。
教科書や参考書の不思議な用語
教科書では、公式と呼ぶことが多いようです。公式という言葉を使う理由は、よくわかりません。
参考書などでは、全て定理と書かれているものもあります。公式と書いてあるものもあります。
はさみうちの原理、など数は少ないですが、原理という言葉が使われる場合があります。はさみうちの原理と書いていたり、はさみうちの定理と書いていたりします。区間縮小法の公理と書いていたり、区間縮小法の定理と書いていたり、区間縮小法の原理と書いていたりします。やめて欲しいです。
公理系の紹介
それぞれの数学の分野について、それぞれ公理系は複数あります。数学者が作ります。
公理の検証を哲学の教授がやっていたりします。
工学に関わる限りにおいては、大体の公理系、そしてそれぞれの公理、定義は受け入れられると思います。
集合論の公理系は複数あります。その中の1つのZFCを紹介します。
集合論の公理系 : ZFC
- 集合Aの要素と集合Bの要素が全く同じならば、AとBは等しい。(外延性)
- 要素を持たない集合\(\varnothing\)が存在する。(空集合)
- 集合Aと集合Bだけを要素とする集合{A,B}が存在する。(対)
- 集合を要素とする集合Aに対して、その要素の要素を全部集めてできる集合\(\bigcup A\)が存在する。(和集合)
- \(\varnothing\)を要素とし、かつ集合Aが要素ならば\(A\cup{A}\)も要素であるような集合が存在する。(無限)
- どの集合Aに対しても、その部分集合を全部要素とする集合P(A)が存在する。(巾集合)
- 集合Aを定義域とする、どのような明確な写像の値域も集合となる。(値域)
- \(\varnothing\)でない、どの集合Aにもその要素の中にAと交わらないようなものが必ず存在する。(基礎)
- どの集合Aに対しても、その要素である\(\varnothing\)でない集合と一つの要素だけを共有する集合C(A)が存在する。(選択)
初等幾何学の公理系 : Weylのn次元幾何学の公理系を赤攝也がn=2にして修飾を加えたもの
現代の初等幾何学 赤攝也を読んでください。(電子書籍はセールになるときがあります。)
ベクトルの説明がとても公理主義的で面白いです。基本的な用語を完全な無定義で始められるとついていけないので最初は方便で始めるしかないよな、と思っていたら、まさしく好例で感じ入ってしまいました。
お断り
頑張って書いていますが、内容は保証できません。
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