古典力学 2

古典力学について説明します。

ベクトルは太字にしていますが、わかりにくいです。

運動の第二法則

経験則として正しいとする : 運動の第二法則

$$ \boldsymbol{F} = m \boldsymbol{a} $$

ちからは質量と加速度の積に等しいという等式です。古典力学の中では絶対に正しいとして扱います。

下記の書き方の場合もあります。慣れると便利になります。
$$ \boldsymbol{F} = m \frac{d^2 \boldsymbol{r}}{dt^2} $$
$$ \boldsymbol{F} = m \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} $$

これは経験的に正しい、とされています。

この、原理、法則、は普通の場合、成り立つことが知られています。特に地表に近いところでは、と説明されます。

しかし、ちからをかけつづけることができたとすると、物体というか質点はいつかは光速を超えることになり、アインシュタインの主張に反することになります。アインシュタインの理論の方が正しい(=光速を超えることはない)とされています。

\( \boldsymbol{F} = m \boldsymbol{a} \)を運動方程式と言います。

自分は、質量と移動距離の時間二階微分との積を、ちからと定義する、と読みます。
ちからは、交換可能、伝達可能、として議論を展開して、現実を記述します。
微分方程式です。

(準備)微分積分の基本定理

定理 : 微分積分の基本定理

\( F(x) \)が\( f(x) \)の原始関数であるとき、下記が成り立つ。
\[
\int_{a}^{b} f(x) dx = \bigl[ F(x) \bigr]_{a}^{b} = F(b) – F(a)
\]

力積(impulse)と運動量(momentum)

\( \boldsymbol{F} = m \boldsymbol{a} \)の両辺を時間で積分(定積分)します。

\[
\begin{align*}
\int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F} dt & = \int_{t_A}^{t_B} m \boldsymbol{a} dt \\
& = \int_{t_A}^{t_B} m \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} dt = \bigl[ m\boldsymbol{v} \bigr]_{t_A}^{t_B} = m \boldsymbol{v}(t_B) – m \boldsymbol{v}(t_A)
\end{align*}
\]

等式の両辺を積分しているので、これも等式として成り立ちます。

下記で説明される場合もあります。

\[
\int_{t_1}^{t_2} \boldsymbol{F} dt = \int_{t_1}^{t_2} m \boldsymbol{a} dt = \int_{t_1}^{t_2} m \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} dt = \bigl[ m\boldsymbol{v} \bigr]_{t_1}^{t_2} = m \boldsymbol{v}(t_2) – m \boldsymbol{v}(t_1)
\]

\[
\int_{0}^{t} \boldsymbol{F} dt = \int_{0}^{t} m \boldsymbol{a} dt = \int_{0}^{t} m \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} dt = \bigl[ m\boldsymbol{v} \bigr]_{0}^{t} = m \boldsymbol{v}(t) – m \boldsymbol{v}(0)
\]

定義 : 力積

\( \displaystyle \int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F} dt \)が力積です。力積と定義します。

定義 : 運動量

\(m \boldsymbol{v}(t_B)\)と\(m \boldsymbol{v}(t_A)\)が運動量です。運動量と定義します。\(m \boldsymbol{v}(t_B) – m \boldsymbol{v}(t_A)\)が運動量の変化です。

重たくて速いほど値が大きいです。運動を表す値として最も適切とされています。

運動方程式と微分積分は絶対に正しいという議論の中の話しなので、力積と運動量の変化は必ず等価です。

英語のimpulseが示すように衝突、衝撃に使います。

運動の第三法則

経験則として正しいとする : 運動の第三法則

ものが別のものに押す方向に作用するとき、ものが別のものから逆向きに反作用のちからを受ける。
ものが別のものに引く方向に作用するとき、ものが別のものから逆向きに反作用のちからを受ける。

ひとがものに押す方向に作用するとき、ひとがものから逆向きに反作用のちからを受ける。
ひとがものに引く方向に作用するとき、ひとがものから逆向きに反作用のちからを受ける。

作用と反作用は直線上に逆向きです。
作用と反作用のちからの大きさは等しいです。

ひとが「重いもの」、「動かせないほど重いもの」、「軽いもの」を引くときをそれぞれ考えると引く場合の反作用がわかりやすいと思います。

りんごを机に乗せる状況で、重力の反作用が「りんごが地球を引くちから」と回答させる、嫌がらせに使われます。

運動量保存の法則

2つの質点をまとめて1つの系として考えるとき、下記を運動量保存の法則と言います。

鉄やガラスなどの様々な材質の球を作って、衝突させるとそれぞれの重さにも依存して、速さが決まる、という話しなので割と面白い話しだと思います。弾性、非弾性、はねかえり係数、など当たり前のことの分類と定義が長々と続くので本題に入る前に嫌になってしまいますが。

ある時刻に瞬間的に衝突して、それぞれの質点の速度が変化する話しなので、ほとんどの場合に\(\boldsymbol{v}(t)\)とは表記されず、\(\boldsymbol{v}\)と表記されます。ある時刻の前の時刻とある時刻の後の時刻には興味が無いということです。

反対方向に進む質点が衝突する場合と、同じ方向に進む遅い質点に速い質点が衝突する場合が考えられます。

\[
\begin{align*}
m_{A}\boldsymbol{v}_{A} + m_{B}\boldsymbol{v}_{B} & = m_{A}\boldsymbol{v}_{A}’ + m_{B}\boldsymbol{v}_{B}’ \\
m_{1}\boldsymbol{v}_{1} + m_{2}\boldsymbol{v}_{2} & = m_{1}\boldsymbol{v}_{1}’ + m_{2}\boldsymbol{v}_{2}’
\end{align*}
\]

複数の質点をまとめて1つの系として考えるとき、下記を運動量保存の法則と言います。

\[
\sum_{k=1}^{n} m_{k}\boldsymbol{v}_{k} = \sum_{k=1}^{n} m_{k}\boldsymbol{v}_{k}’
\]

導出

2つの質点の運動方程式を時間で定積分します。
衝突のとき、質点Aが質点Bに作用した反作用を質点Aが受けるので、逆向きの力を質点Aが受けます。

\[
\begin{gather}
\int_{t_1}^{t_2} – \boldsymbol{F} dt = m_{A}\boldsymbol{v}_{A}(t_2) – m_{A}\boldsymbol{v}_{A}(t_1) \\
\int_{t_1}^{t_2} \boldsymbol{F} dt = m_{B}\boldsymbol{v}_{B}(t_2) – m_{B}\boldsymbol{v}_{B}(t_1)
\end{gather}
\]

\(v(t_1) \rightarrow v\)と表記して、\(v(t_2) \rightarrow v’\)と表記することにします。

\[
\begin{align*}
\int_{t_1}^{t_2} – \boldsymbol{F} dt = m_{A}\boldsymbol{v}_{A}’ – m_{A}\boldsymbol{v}_{A} \\
\int_{t_1}^{t_2} \boldsymbol{F} dt = m_{B}\boldsymbol{v}_{B}’ – m_{B}\boldsymbol{v}_{B}
\end{align*}
\]

\[
– m_{A}\boldsymbol{v}_{A}’ + m_{A}\boldsymbol{v}_{A} = m_{B}\boldsymbol{v}_{B}’ – m_{B}\boldsymbol{v}_{B}
\]

\[
m_{A}\boldsymbol{v}_{A} + m_{B}\boldsymbol{v}_{B} = m_{A}\boldsymbol{v}_{A}’ + m_{B}\boldsymbol{v}_{B}’
\]

複数の質点も同様に導出できます。

内力と外力

導出からもわかるように、衝突のときの作用反作用以外のちからがあると、運動量は保存しません。衝突を考えるとき、作用反作用以外のちからを外力と言います。

(準備)積の微分

定理 : 積の微分

\[
\begin{align*}
(f(x)g(x))’ & = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{x+h-x} \\
& = \lim_{h \to 0} \frac{(f(x+h)-f(x))g(x+h)+(g(x+h)-g(x))f(x)}{h} \\
& = f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
\end{align*}
\]

\((f(x+h)-f(x))g(x)+(g(x+h)-g(x))f(x)\)となってくれれば、いかにも証明、導出らしいのですが、\(g(x+h)\)で\(h \to 0\)で\(f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\)です。

運動エネルギー

\( \boldsymbol{F} = m \boldsymbol{a} \)の両辺に速度ベクトル\(\boldsymbol{v}\)をかけます。内積です。

\[
\begin{align*}
\boldsymbol{F} \cdot \boldsymbol{v} & = m \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{v} \\
& = m \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} \cdot \boldsymbol{v}
\end{align*}
\]

ここで、積の微分の定理で\(f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\)を\((f(x)g(x))’\)にすることを考えます。

\[
\bigl( \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} \bigr) \cdot \bigl( \boldsymbol{v} \bigr) = \frac{1}{2} \bigl( \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} \bigr) \cdot \bigl( \boldsymbol{v} \bigr) + \frac{1}{2} \bigl( \boldsymbol{v} \bigr) \cdot \bigl( \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} \bigr) = \frac{1}{2} \frac{d}{dt} \bigl( \boldsymbol{v} \cdot \boldsymbol{v} \bigr) = \frac{1}{2} \frac{d}{dt} v^2
\]

\[
\boldsymbol{F} \cdot \boldsymbol{v} = m \frac{1}{2} \frac{d}{dt} v^2 = \frac{d}{dt} \frac{1}{2} m v^2
\]

定義 : 運動エネルギー

下記を運動エネルギーと定義します。
$$ \frac{1}{2} m v^2 $$

仕事

定積分

まず、定積分について簡単に復習します。

\[
\begin{gather}
\int_{a}^{b} f(x)dx
\end{gather}
\]

上記は、\(a \leqq x \leqq b\)で、縦幅\(f(x)\)と横幅\(dx\)の面積の和をとることを意味しています。

\(f(x)dx\)は無限に微小な長方形です。

仕事と運動エネルギーの定義では、下記を考えます。

\( \boldsymbol{F} = m \boldsymbol{a} \)の両辺に速度ベクトル\(\boldsymbol{v}\)をかけます。

\[
\boldsymbol{F} \cdot \boldsymbol{v} = m \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{v}
\]

両辺を時間で積分(定積分)します。

\[
\begin{gather}
\int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F} \cdot \boldsymbol{v} dt = \int_{t_A}^{t_B} m \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{v} dt
\end{gather}
\]

左辺に注目します。
位置ベクトルを微分すると速度ベクトルを得ることができます。
\[
\boldsymbol{v} = \frac{d}{dt} \boldsymbol{r}
\]

よって、下記となります。
\[
\int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F} \cdot \boldsymbol{v} dt = \int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F} \cdot \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} dt
\]

定理 : 置換積分

\(a=g(\alpha), b=g(\beta)\)のとき、下記が成り立つ。
\[
\int_{a}^{b} f(t)dt = \int_{\alpha}^{\beta} f(g(x))g'(x)dx
\]

正しい条件と証明については下記を参照ください。
微分積分

変数を明記して、下記となります。
\(r(t_A) = r_A\)
\(r(t_B) = r_B\)
とします。

置換積分で\(dt\)を\(d \boldsymbol{u}\)にすることを考えます。ここでは\(t\)の次の\(u\)を使います。\(s\)を使う文献もあります。

\[
\begin{align*}
\int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F}(\boldsymbol{r}(t)) \cdot \boldsymbol{v}(t) dt & = \int_{t_A}^{t_B} \boldsymbol{F}(\boldsymbol{r}(t)) \cdot \frac{d \boldsymbol{r}(t)}{dt} dt \\
& = \int_{r_A}^{r_B} \boldsymbol{F}(\boldsymbol{u}) \cdot d\boldsymbol{u} \\
& = \int_{r_A}^{r_B} Fx(x) dx + Fy(y) dy + Fz(z) dz \\
& = \int_{r_A}^{r_B} \boldsymbol{F}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{r}
\end{align*}
\]

変数\(\boldsymbol{u}\)が\(r_A\)から\(r_B\)まで移動することを考えます。
このとき、\(d\boldsymbol{u}\)が微小な距離、\(\boldsymbol{u}\)がその中の代表点、とリーマン積分を考えます。そうすると、\(d\boldsymbol{u}\)は\(x\)方向と\(y\)方向と\(z\)方向に分解できて、と思うのですが、結局、2行目と3行目はなくても、同じことを示すことになるので不要かとも思います。

合っているはずです。自信はあまりありません。2行目と3行目を消せば、教科書通りです。
多次元を扱う場合は、内積が便利です。

上記が線積分です。もう、時間のことは気にしません。
\(d\boldsymbol{u}\)は微小な距離です。経路上の(ちから)(距離)=(仕事)の和をとります。

定義 : 仕事

(ちから)(距離)=(仕事)と定義します。

上記をまとめると、下記となります。運動エネルギーの差は仕事に等しい、となります。

\[
\begin{align*}
\int_{r_A}^{r_B} \boldsymbol{F} \cdot d \boldsymbol{r} & = \int_{t_A}^{t_B} \frac{d}{dt} \frac{1}{2} m v^2 dt \\
& = \bigl[ \frac{1}{2} m v^2 \bigr]_{t_A}^{t_B} \\
& = \frac{1}{2} m v_{t_B}^2 – \frac{1}{2} m v_{t_A}^2
\end{align*}
\]

まとめ

オイラー、最強。

微分積分を使わない古典力学は論外です。
高校の物理の教員も困っている人が多いという印象です。

大学でも、詳細に説明してくれる人に指導して貰えることは稀でしょう。英語の文献を読んでも、数学の部分は数学の担当と思っているのか、証明はさっと済ましてしまう文献ばかりです。

Internetがインフラストラクチャとして定着したので、今後、善意の人達によって少しずつ改善されることを期待します。

お断り

微分積分を使った古典力学なので、中学生、高校生は参考にしないでください。

参考

トランジスタ技術2019年7月号



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