古典力学 10 (慣性モーメント)

直方体の慣性モーメントを計算します。

シンプルなアイデア

慣性モーメントテンソルを扱いやすくするための簡単なアイデアとして、回転軸の向きがx軸と一致している、回転軸の向きがy軸と一致している、回転軸の向きがz軸と一致している、の3種類を考えます。

大学の授業では、慣性モーメントテンソルは出てこなくて、回転軸の向きがz軸と一致しているとして説明が始まる場合が多いです。

直方体の慣性モーメント

ここでは、回転軸の向きがz軸と一致しているとします。

今まで、たくさんの質点を考えてきましたが、ここからはたくさんの微小な体積と、体積の質量の密度を考えます。

$$ \rho(x,y,z)dxdydz $$

直方体の慣性モーメントの式は下記です。ここでは密度は一定として定数として扱います。

  • 直方体の重さを\(M\)とします。
  • 直方体のx軸方向の長さを\(a\)とします。
  • 直方体のy軸方向の長さを\(b\)とします。
  • 直方体のz軸方向の長さを\(c\)とします。

$$ I = \int_{-\frac{1}{2}c}^{\frac{1}{2}c} \int_{-\frac{1}{2}b}^{\frac{1}{2}b} \int_{-\frac{1}{2}a}^{\frac{1}{2}a} (x^2+y^2)\rho dxdydz $$

\[
\begin{align*}
I &= \rho \int_{-\frac{1}{2}c}^{\frac{1}{2}c} \int_{-\frac{1}{2}b}^{\frac{1}{2}b} \int_{-\frac{1}{2}a}^{\frac{1}{2}a} (x^2+y^2) dxdydz \\
&= \rho \int_{-\frac{1}{2}c}^{\frac{1}{2}c} \int_{-\frac{1}{2}b}^{\frac{1}{2}b} (\frac{1}{3}(\frac{1}{2}a)^3+(\frac{1}{2}a)y^2-(\frac{1}{3}(-\frac{1}{2}a)^3+(-\frac{1}{2}a)y^2)) dydz \\
&= \rho \int_{-\frac{1}{2}c}^{\frac{1}{2}c} \int_{-\frac{1}{2}b}^{\frac{1}{2}b} (\frac{1}{12}a^3+ay^2) dydz \\
&= \rho \int_{-\frac{1}{2}c}^{\frac{1}{2}c} (\frac{1}{12}a^3(\frac{1}{2}b)+\frac{1}{3}a(\frac{1}{2}b)^3-(\frac{1}{12}a^3(-\frac{1}{2}b)+\frac{1}{3}a(-\frac{1}{2}b)^3)) dz \\
&= \rho \int_{-\frac{1}{2}c}^{\frac{1}{2}c} (\frac{1}{12}a^3b+\frac{1}{12}ab^3) dz \\
&= \rho (\frac{1}{12}a^3b(\frac{1}{2}c)+\frac{1}{12}ab^3(\frac{1}{2}c)-(\frac{1}{12}a^3b(-\frac{1}{2}c)+\frac{1}{12}ab^3(-\frac{1}{2}c))) \\
&= \rho (\frac{1}{12}a^3bc+\frac{1}{12}ab^3c) \\
&= \frac{1}{12} \rho (a^3bc+ab^3c) \\
&= \frac{1}{12} \rho abc(a^2+b^2) \\
&= \frac{1}{12} M(a^2+b^2) \\
\end{align*}
\]

慣性モーメントテンソルは導出済みなので、回転軸がx軸と一致している場合、回転軸がy軸と一致している場合も、同様の計算をすれば良いということがわかります。

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